昔話 事前登録2006/07/25 21:05

このテキストは大昔のL晶討論会後にWeb上で公開したものを一部改変したものです。

事前登録の光と陰

 事前登録に関しては

  • 事前登録はとても良い方策だったと思います。関係者、御担当者の御苦労は大変だったことと思いますが、今後とも続けて頂けたらと思います。

というご要望を頂きました。学会の討論会担当の理事に伝えるようにいたします。
 さて、事前登録をやって見てのメリット・デメリットはと申しますと

  • よかった点(世話人にとって)
    • 事前にある程度の参加社数の予測がつき、入金があるので「L晶討論会が赤字になったらどうしよう」という未経験者故に感じる不安から早く解消される。
    • 受付での手間が少なくてすむ
  • よかった点(参加された方から伺ったものです。)
    • 参加登録費等が立て替え払いでなく支払われるので、自分の懐が痛むことがない。
    • 受付で名前を書いたり名刺を出したりする手間がいらない。
  • 悪かった点(世話人にとって)
    • 当日登録だけにするより、全体の手間がかなり増大する

といったところです(参加された方で上に述べた以外の感想をお持ちの方はお教え頂けると幸いです。)。

 次に世話人側の項目について、もう少し詳しく述べさせて頂きます。まず、メリットについてですが

・参加者数の予測がたつ
 実際に討論会が終わってみると会場として大学を使う限りは討論会が赤字になるのはまず有り得ないことだと分かりますが、討論会の前は少しばかり心配していました。しかし、事前登録のおかげで9月の中ごろには赤字の心配はほぼなくなり、かなり気楽に討論会を迎えることができました。
 今回は、懇親会は別扱いでしたが、懇親会の事前申込みも行えば出席者が予想できるので懇親会で赤字を出すとか、料理が足りないとかいう事態を招きにくくなると思います。
・事前に入金があるので準備金が少なくてもやっていける
 今年の討論会では世話人会より準備金として20万円程お預かりいたしました。もし、当日受付だけにすると、事前の準備の段階で10万以上は不足して立て替えになりますが、事前のお金が入っていましたので、その必要はありませんでした。
・当日の受付の手間が少なくてすむ
 当日受付の方に比較して事前申込みの方の方が受付作業がスムーズでした。もっとも、これは受付の設計の問題とも言えるので必ずしも事前申込みのメリットとはなりません。

 次に事前受付のデメリットの手間が増えた内容についてですが、これは

  1. 事前登録を行う限りは不可欠なもの
  2. 最初の予想以外の要望によって生じたもの
  3. 登録のルールを守らなかったり記載が不十分な申込みにより生じたもの

に分類できます。
 最初の不可欠なものとしては

振替口座の開設と振込票の印刷
 事前登録をするには、まず振替口座を作らなければなりません。また、振込時の便宜を考えると必要事項を記入した振込票を作っておく必要があります。
  • 振込票は、枠も含めて外注で印刷すると高くなるので(本当は、どこに外注できるか分からなかったのと、時間に余裕がなく外注などしていられなかった。)振込票を取り寄せて(これは無料です。)、プリンタで印字しました(私は、L晶討論会の講演者の封筒に入れた分だけだったので、500枚程度だったが、T西さんはL晶学会がらみの分もあったので、3000枚も印字していた。)。
  • 今回は取寄せた振込票を綴じる糊が非常に強固であったため、綴じてある辺からプリンタに入れると詰まってしまい、しょうがなく、上下が反転した打ち出しようのレイアウトを作成して、用紙を下からプリンタに入れて印字しました。
  • 銀行振込は手数料が高いので今回は利用しませんでした。また、クレジットカードによる決済もアイデアとしてはあたのですが、実行にうつそうという気力はわきませんでした。ちなみに、学会事務センターはカードを扱えるので、来年以降は比較的容易に事前登録にカードが使える可能性がありそうです。とはいえ、世話人側からすればカード会社の手数料は郵便振込より高くなるので、海外からの申込み以外は郵便振込にしたくなるところです。
振込まれた方のデータベースへの入力
 登録確認の葉書や、当日に葉書を忘れた時のチェックのためには、事前登録された方の名前をデータベースに入れる必要がありました。
  • 最初は、申込みのあった人を入力して、入金が確認されたら入金確認欄にチェックを入れるようなデザインにしました。運用してみると設計に不備があり途中からは入金が確認された時点で入力するようになりました。最初に、きちんとした設計をしておく必要を感じました。
  • データベースへの転記を楽にするためにホームページ上からの申込みとメールによる申込みをお願いしました。それだけだと、ネットにつながっていないふりをすれば、申込み時の余計な手間がなくなりますので、そうでない方には葉書による申込みをお願いしました。結果的には一部を除いて、入金伝票から入力していますので、お申込み頂いたデータは直接は使っていないのですが、入金伝票に問題があった場合のために、申込みは今年と同様に二重にしておいた方がよいようです。
 
その他の事項
 国際会議のイメージがあったために、事前登録をするからにはネームプレートも印字しなければならないなどと思い込んでいました。それから予稿集やその他の書類等をまとめて渡すためにも封筒が必要だなどと考えて封筒も作ることにしました。
 別に、そんなことをしなくても、参加登録票引換券を見て、印字していないネームプレートと必要なら予稿集を渡せばよいと気が付いたのは討論会の2週間程度前で、既に準備が走り出していたので、印字したネームプレートを作ってしまいました。来年以降に関しては印字したネームプレートを作る必要はないだろうと思います。
参加登録票引換券の発送
 入金確認後に参加登録票引換券を発送する必要があります。事前登録を行うことを決めた時点では引換券のデザイン等を決めていませんでしたので、7月中に申込み頂いた方には、申込み頂いてから引換券をお送りするまでにかなりお時間を頂くことになりました。申し訳ございませんでした。引換券で、あて先不明で戻ってきたものは幸いありませんでした。


 次に2番目の、最初に予定していた以外の問題として

請求書の発送依頼
 いくつかの企業の方から「請求書がないと振込できないので請求書を発行してくれ」というご要望を頂きました。今回は請求書発行の手数料として100円(実際は郵送費です。)ほど上乗せして請求しました。来年以降に請求書の取扱いをどうするかは考えておいた方がよい問題でしょう。
領収書の発送依頼
 振込伝票に領収書の発行依頼がある場合がありました。この場合は請求書と異なり郵送費分を要求する訳にはいかないので、扱いに少しばかり困ります。今年は同一の会社から2件ありましたので、封書で郵送してコスト的には問題にはなりませんでした。また、当日に事前申込みの領収書を要求される方が何人かいらっしゃいました。来年以降は「領収書が必要な方は当日申込みにして下さい」という一文をいれておく必要があるかもしれません。
予稿集のみの発送依頼
 L晶討論会には参加できないが予稿集だけは欲しいという要望がありました。これは、事前登録を行う限りは出てきそうです。とはいえ、今年の場合は2000円だけ振り込まれた入金票を前にして「この人は郵送費のことをどう考えているのだろう」と途方にくれざるを得ませんでした。特に、L晶討論会が終わった後に、2000円のみの振り込みがあった時には、どのように対応するかを決めて(場合によれば振り込んだ人に連絡し)、それから振り込んだ本人に通知するための文書を作って郵送してという作業がありますので、コスト的には(実際には支払われない人件費を入れると)数千円になります。振り込んだ人は、そのような意識はもっていないでしょうが、世話人としては不平の百ぐらいはいいたくなります。
 来年以降は、予稿集のみを郵送で希望する場合の料金(それも、事前の締め切り以内と以後にわけて)を設定する必要があるでしょう。

また、今年度に特有の問題ではありますが「L晶学会の設立記念パーティ口座」にL晶討論会の参加登録費を振り込んでしまったものがありました。この方は別途申込みがあったので、まず未入金ということで連絡をして、それから振込票の控えのコピーをファックスして頂き、それから呆然として、まあ最後は一緒の財布になるのだからと、そのまま入金済みの方に回しました。


 最後の、記載が不十分であったり、ルールを守らないことによるトラブルですが、

名前の未記入、及び複数名分の申込みに代表者名のみ
 これには2つのパターンがありました。一つは入金票だけでメール等の申込みがない、もしくはメール等による申込みはあったが、そちらの記載も不十分のものです。もう一つは、入金票には記載がないが、メール等によるきちんとした申込みがあるものです。
 前者の場合には申込者の確認等で余計な手間がかかるのはご理解頂けると思います。複数人の申込みで代表者の名前が分かる場合には代表者にメールかファックス・電話で問合せます。個人の場合は誰だか分からないので、入金票に書いてある電話番号に兎に角電話をして確認をとります。また、同じ会社で既に申込まれて連絡先が分かっている方にお願いして調べて頂いたこともあります。
 入金票に名前がなくてもメール等での申込みがあれば原理的には受付は可能です。実際、複数名の申込みを頂いた場合など、対応する申込みと照合して登録を行いました。ところが、一人分の申込みになると事態は異なってきます。具体的には、或るメーカーの方からホームページを通しての申込みがあり、そのメーカーから名前のない入金があったので、ホームページ上での申込みに対応させて処理しておいたところ、その後しばらくして、ホームページ上で申込んだ人の名前での入金が来た例があります。そうなると、事務手続きのミスで二重に降り込んだのか、それとも実際に2名参加するのかの判断が出来なくなります。この例では照会して、2名の出席であることが確認できましたが、これ以降は無記名の降り込みに対応する申込みが既にあったとしても慎重に扱う(実際に行ったのは数日寝かせて他に入金が来てしまわないかの確認程度でしたが)ようになりました。
 無記名ではなくても照会が必要になるのに姓しか記入していないものと、字がきたなくて判読出来ないものがありました。講演の申込みがある人などは、そちらと照合して穴を埋めますが、講演の申込みがない人だと電話をして尋ねるしか方法がなくなります。会社名や住所は(一つの会社から複数名の申込みがあれば)判読できない部分があっても困りません。しかし、名前に関しては他から情報を拾いようがないので、読めなければ即座に困ります。申込者が名前を書く数秒の手間を惜しんだために、世話人にとっては数分から数十分の余計な作業が発生するのです。この経験により私も振込のときなどは拙い字でもいいから読めるように書こうと心から思うようになりました。
締め切り期限後の申込み
 今回は事前登録の締め切りを9月5日としました。これは、郵便振替の入金確認には最大で2週間程度はかかることがあると聞いたことがあるので、入金確認後に参加登録票引換券を発送する余裕を見て設定しました。9月17日の金曜日に入金が確認されたとしても土曜日に発送すれば月曜日か水曜日(火曜日が休日ですので)には手元に届くだろうとの読みでした。
 さて、実際に振込後の入金にどのくらい時間がかかったかというと、早いものでは翌日、もっとも遅かったもので13日後でした。因に13日かかったのは9月5日に振込があったものの1つで、これから締め切りの設定はいい線だったと判断しています。逆に言えば、8日の月曜日以降の振込では参加登録票引換券を討論会前に申込者に届くように発送することが不可能になる可能性があったということです。振込が締め切り後になったのには
  • 本人の責任によるもの
  • 本人は期限に間に合うように事務に書類を提出したつもりだったが、事務システム、あるいはアクシデントにより振り込まれなかったもの
がありました。前者は、確信犯であるにせよ、うっかりであるにせよ文句の三つくらいは言いたくなります。結果的に、今回は重大な問題となった例はありませんが、どうなるかは確率的なものなので、締め切り後の振り込みが多くあれば、当日の受付で「送金もしている」対「入金はされていない」のトラブルが発生することは間違いありません。振込票の控えをもって来てくれていればよいのですが、そうでなかったら当日払をして頂く以外に対応はできなくなります。
 事務システムにより振込が遅れた場合には、本人にどの程度の責任があるのかは不明なのですが、受付する事務の側からすれば、その結果生じる迷惑は確信犯の場合と同じです。そこで、今回は事務手続きにより入金が遅れた場合にも、「期限後入金」のシールを張り、入金遅れに対する不満を述べた紙を同封しました。ご自分で振り込むのではない方は、是非振込に至るまでのプロセスを確認されて期限に間に合うようにお願いいたします。
別途申込み連絡のない申込み
 今回は、振込とは別に申込みをして下さるようにお願いしましたが、それを守らない方もいらっしゃいました。多くの場合は振込票さえきちんとしていれば問題は生じないのですが、特に期限後の申込みの場合などは、別途申込みがないと大きなトラブルが生じる可能性があります。今回は、別途申込みがあったのに入金がないので、確認のお願いをしたところ事務の手違いで振込が行われていないのが分かったケースがあり、別途申込みに救われました。これなど、別途申込みがなければ当日までお互いにどうなっているのか分からずに受付で混乱が生じるところでした。
 別途申込みがない上に、振込も遅れた申込みもありました。一番ひどいのは9月17日の振込でした。これは19日に入金が確認されましたが、討論会を翌週に控えて右往左往している金曜日の夕方に、予定外の申込みを見た時には「いいかげんにしてくれ」というのが正直な気持です。ちなみに、この人からは23日にL晶若手の方の電話に「明日から出張なのに討論会の引換券が到着しないのだが」というクレームがやってきました。さすがに「連絡もなく振込も非常に遅く怒り狂っています」と電話で申しましたが、もっと文句を言うべきだったと反省しています。

来年以降の事前登録について

 今年度の経験からは、事前登録は世話人にとってマイナス面の方が多いだろうというのが本音です。その理由は、討論会が近づいて忙しくなって来た時になって、期限後申込みや不備がある申込みへの対応にさらに時間が取られるからです。事前登録を残すとしたら(学会事務センターとの契約がどうなっているかは知りませんが)、学会事務センターに依頼するか、現地の世話人とは別に事前登録担当者を置くかだと思います。