昔話 Webサイトのこと2006/07/27 23:18

昔話第3弾です。今回はHPの話。今でこそ学会などのWebサイトがあるのは当たり前ですが、10年前にwebサイトを用意して、しかもWeb上かの申込も受け付けるというのは結構画期的だったのではないかと思います。
当時使っていたOS/2は、もはや存在しておらず、世の中は随分と変わったなぁと改めて感じています。とはいえ、10年近く前に実現できなかったL晶討論会談話室は、まったく忘れていたのですが、このブログを始めた一つの動機が、コメント機能を使っての談話室的なものだったので、実に進歩がないというか、極めて進んだ発想をしていたというべきか、どちらなのでしょうか。

ホームページあれこれ


サーバの設置とウェブサーバソフトの決定

 L晶討論会の世話人を引受けた時から、ホームページの活用は考えていました。そのための下準備として、97年の春から学科のドメインの管理責任者になりました。そして、春に学内のネット管理部局に学科のドメインにサブネットを2つ追加する申請をし、学科のネットに余裕を持たせて、ホームページ用のマシン等を設置する余裕を作りました(もちろん、学科のIPアドレスが足りなくなったのを緩和するのが本来の目的ではありますが)。
 ホームページ用のマシンとしては、IBM-PC互換機上でOS/2+IBM-ICS(インターネットコネクションサーバ)を使うことを予定していました。PC互換機を用いるのは、もちろんワークステーションの持ち合わせがないからです。OS/2とIBMのサーバソフトを予定していたのは、ある程度の使用経験があることと費用が安くてすむためでした。費用の点からはフリーUNIXという手もありますが、UNIXをしっかり動かすには経験が足りないので、もっと楽に使えそうなものにしました。OS/2でしたらライセンスを2つ持っているので、それを一つ使えますし、またウェブサーバソフトは無償で公開されていますので、余計な負担は必要ありませんでした。なお、サーバ用のマシンとしてはペンティアム166MHz、SCSIの2Gのハードディスク、メモリー(ECC)144Mのマシンを用いています。
 ホームページを作るからにはホームページからの申込みをやろうと決めていました。そのためには、ある程度の芸が必要になります。そこで、上記の組合せでホームページからの申込みができるような画面とプログラムの作成を春休み頃にぼちぼちとやっていたのですが、サーバソフトからプログラムへのデータの受渡しがうまくいかずに、作業が中断していました。
 ウェブサーバとは別件でロータスノーツサーバをいじっていましたが、こちらのウェブサーバ機能を用いれば比較的簡単にホームページ上からの申込みが実現できることに気が付き、サーバソフトをICSからノーツサーバに変えることにしました。ちなみにノーツサーバはアカデミックディスカウントを使えば定価の3割程度の価格で購入できます。
 ホームページの作成にはIBMのホームページビルダーを主に用いています。このソフトを用いている理由は、OS/2上でネイティブで動くことで、機能等が他社製品と比較して優れているかは不明です。

ホームページからの申込み・申込み内容の公開

 ホームページからの申込みを作成して、運用する前にテスト公開をしました。とはいえ、テストに協力して頂いた方はいなく、実質的にぶっつけ本番で登録に用いることになりました。その割には問題なく動作したのでほっとしています。反省点としては

  • 最初に講演者のひらがな欄を作っておかなかった。
  • 申込みボタンを押した後、申込み内容の確認(キャンセルつき)を入れられなかった。
  • 途中から、申込み内容の公開で要旨の非公開を設定できるようにしたが、取扱いが中途半端だった。

といったところがあります。
 講演者のひらがな欄を作らなかったのは単なる手落ちです。内容の確認用のページがなかったのは技術と作成のための時間が不足したためです。講演申込みについては、講演内容の公開ページでのチェックが可能なこともあり手を抜いたのですが、事前登録に関しては、登録がきちんと行われたか分からないので、何度も登録を試みてさらにメールで申込みをされた方もいました。
 要旨の非公開は、最初に公開のみで作成した後に、ある会社の方から希望があり途中から付け加えました。とはいえ、公開と非公開の選定は申込者にまかせてしまったので、大学関係の申込みでも非公開が出てしまったのは残念なことでした。また、非公開を作ってしまった結果として企業の方が必要以上に非公開を選択されたのではないかと思います。
 申込み頂いた講演については分野や所属別に一覧が出来て、さらに検索もできるようにしました。技術的にはノーツサーバまかせなので、非常に簡単にできています。見栄えは、もう少しきちんとデザインすればよかったと思っていますが、そのあたりは時間がとれませんでした。
 なお、検索機能は、実は非公開の要旨も含めて検索してしまうという問題があったのですが、知らんぷりを決め込むことにしました。幸い(見破った人がいたかは分かりませんが)クレームはありませんでした。


ウェブとデータベースソフトのデータのやり取り

 講演申し込みのデータベースはネット上で公開したものを原本として、それから手元のデータベースに変換しました。ですから、電子メールや郵政省メールで頂いた申し込みは、まずノーツのデータとして登録しています。ノーツからデータベースソフトに落とすのは、後から考えるとロータス社のアプローチ97で直接読めば良かったのですが、Win3.1版を使っていたために、一旦テキストファイルに落としてからデータベースソフトで読み込みました。この時、表題や要旨中に含まれる半角のカンマ「,」のおかげで読み込みがずれて、少しばかり手間取りました。どのデータベースを用いるか、区切り文字はどうするかなどは最初に考えておいた方がよいようです。
 プログラム一覧などは、データベースからテキストにかき出したのをエディタ上で置換を使ってHTMLタグを適当に埋めこんだのを最後は手直ししてのせています。その中で問題があったのは、名前にJISの第1・第2水準に含まれていない漢字を使っている方がいたことでした。該当する方は3名で、そのうちの2名が補助漢字まで広げれば対応可能でした。とはいえ、補助漢字を探せば見つかることに気がついたのは9月に入ってからでした(プログラム用にアウトラインフォントの外字を作るために大漢語林で文字の確認をしていたら補助漢字にありそうな記述があり、それから補助漢字を必死になって調べた)。それ以前に掲載したものなどは印刷所に渡すときに、容易にチェックできるように別の文字を入れていたのをそのまま掲載しています。

ウェブで何ができるか

 今回の経験からウェブサイトは討論会等の運営にとって非常に有効なものであることが分かりました。しかし、周囲を見てみますと年配の方を中心に、L晶討論会のホームページがあることを認識もしていない方も多く、より多くの方に存在を認識して積極的に活用して頂く必要があることを感じました。
 例えば、プログラムもミスに関しても、ホームページに掲載してあるのを見て訂正依頼のメールを頂いたので、事前に修正ができたケースがある一方で、当日になってからお申し出を頂くケースもありました。著者自身によるプログラム原稿の校正的なことも含めて、より有効に活用するのには積極的にアクセスして頂く必要があります。来年以降はL晶学会のサイトが常設され、そこからリンクが張られるでしょうから、よりアクセスしやすくなるだろうと期待しています。
 今回、計画はしたものの実行しなかったことの一つに「L晶討論会談話室」があります。これは、ノーツサーバの機能を利用して、ブラウザで接続した人からも意見を投稿できて相互に議論できるようなものです。メーリングリストと比較すると

  • データは自動的に送られてこないので積極的に接続しなければ自動的に抜けられる
  • データが階層化されるので、話の流れは追いやすくなる
  • 遡った討論もサーバ上にあるので、新しく参入した人も昔の話を容易に見られる

といった違いがあります。これを利用すれば、例えば討論会のあり方について公開討議が出来ますし、また、学問的な討議なども行えるので結構面白いのではないかと思います。どんなものか試してみたいという御希望がそこそこあれば動かす努力を開始しますので御連絡下さい。(とはいえ、本来の業務の空き時間に、印刷されていないマニュアルを眺めながら設定しますので、すぐには立ち上がらないと思います。)


コメント

トラックバック